
Hermes Agentは、ターミナルやSlackから使える「実行できるAIエージェント」です。
ChatGPTのように答えを返すだけではなく、ファイルを読み、コードを直し、ブラウザやXを調べ、画像を作り、必要なら定期実行まで設定できます。さらに、過去のやり取りや作業手順を記憶し、次回以降の仕事に活かせるのが大きな特徴です。
この記事では、Hermes Agentを初めて触る人向けに、何ができるのか、どうインストールするのか、SlackやXサーチまで含めてどう使い始めるのかを、まどろっこしくなくまとめます。

Hermes Agentとは
Hermes Agentは、Nous Researchが公開しているオープンソースのAIエージェントフレームワークです。
公式ドキュメントでは、CLI、ツール、スキル、メモリ、MCP、Gateway、Cronなどが整理されています。ざっくり言うと、以下のような立ち位置です。
- ターミナルから使えるAI作業エージェント
- SlackやTelegramなどのチャットから呼び出せる業務エージェント
- ファイル操作、検索、ブラウザ、画像生成、Xサーチなどのツールを使える実行環境
- 過去の作業・好み・環境情報を記憶できるエージェント
- よく使う作業手順を「スキル」として蓄積できる仕組み
Claude CodeやCodexのような「開発支援エージェント」に近い部分もありますが、Hermes Agentは開発だけでなく、Slack運用、調査、記事作成、定期レポート、事業運用まで広げやすいのが特徴です。
参考:
- Hermes Agent公式ドキュメント: https://hermes-agent.nousresearch.com/docs/
- Quickstart: https://hermes-agent.nousresearch.com/docs/getting-started/quickstart
- CLI Commands: https://hermes-agent.nousresearch.com/docs/reference/cli-commands
- Tools Reference: https://hermes-agent.nousresearch.com/docs/reference/tools-reference
- Messaging Gateway: https://hermes-agent.nousresearch.com/docs/user-guide/messaging/
インストール方法
一番シンプルな導入は、公式のインストールスクリプトを使う方法です。
curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/NousResearch/hermes-agent/main/scripts/install.sh | bash
インストール後、ターミナルを再起動するか、シェル設定を読み直します。
source ~/.bashrc
macOSでzshを使っている場合は、必要に応じて次のように読み直します。
source ~/.zshrc
その後、セットアップウィザードを起動します。
hermes setup
Python環境で入れたい場合は、pipで入れる方法もあります。
pip install hermes-agent
基本的には、まず公式スクリプトまたはpipでインストールし、hermes setup でモデルやツールを選ぶ流れです。
最初に覚えるコマンド
よく使うコマンドはこれだけ押さえれば十分です。
hermes
通常の対話モードを起動します。
hermes chat -q "このリポジトリの構成を説明して"
単発の質問や作業依頼を投げられます。
hermes model
利用するモデルやプロバイダーを切り替えます。
hermes doctor
設定や依存関係の状態を確認します。
hermes tools
使えるツールを有効化・無効化します。
hermes skills list
インストール済みスキルを確認します。
hermes gateway status
SlackなどのGateway運用状況を確認します。
モデル設定
Hermes Agentは、特定のモデルに縛られません。
たとえば以下のような選択肢があります。
- OpenRouter
- Anthropic
- OpenAI
- xAI / Grok
- Google Gemini
- DeepSeek
- ローカルモデル
- カスタムOpenAI互換エンドポイント
最初は hermes model または hermes setup で選べばOKです。
hermes model
APIキーやOAuthが必要なプロバイダーもあるので、公式のProviderドキュメントも確認しておくと安全です。
参考: https://hermes-agent.nousresearch.com/docs/integrations/providers
ツールを有効化する
Hermes Agentの強みは、ツールを使って実行できることです。
代表的なツールは以下です。
- terminal: コマンド実行
- file: ファイルの読み書き
- browser: ブラウザ操作
- web: Web検索・抽出
- x_search: X投稿検索
- image_gen: 画像生成
- vision: 画像解析
- cronjob: 定期実行
- messaging: Slackなどへの送信
- memory: 長期記憶
- skills: 手順の蓄積
有効化・無効化は以下で行います。
hermes tools
Slackで使う場合は、CLI側だけでなくSlack側のツール設定も確認が必要です。ツールを有効化した後は、新しいセッションやGateway再起動が必要になることがあります。

メモリとスキルが重要
Hermes Agentで特に重要なのが、メモリとスキルです。
メモリは、ユーザーの好み、環境情報、プロジェクトの前提などを長期的に保持する仕組みです。たとえば「この会社のサイトはこのリポジトリ」「ブログ画像はこのトンマナ」「Slackではこのチャネルを使う」といった情報を覚えられます。
スキルは、再利用できる作業手順です。
一度うまくいった作業をスキル化しておくと、次回以降はその手順を読み込んで、同じミスを減らせます。
たとえば以下のような作業はスキル化に向いています。
- microCMSへブログ記事を登録する
- GitHub PRをレビューする
- Slack Gatewayを復旧する
- Xサーチで顧客インサイトを調べる
- 画像生成後にinovieロゴを正しく合成する
単発で終わらない業務ほど、メモリとスキルの価値が出ます。
Slackで使う
Hermes AgentはGatewayを使うことでSlackから呼び出せます。
hermes gateway setup
hermes gateway install
hermes gateway start
hermes gateway status
Slack運用では、以下を意識します。
- Slack AppのBot TokenとApp Tokenを設定する
- Socket Modeを有効化する
- 必要なイベント購読を設定する
- チャネルではメンション必須にする
- Gatewayを再起動して反映する
Slackで使えるようになると、スマホやチームチャネルから、調査、記事作成、デプロイ確認、定期レポートなどを依頼できます。
Xサーチを使う
Hermes Agentでは、X投稿を調べる x_search ツールを使えます。
たとえば、以下のような調査に向いています。
- 新しいAIツールの評判
- 競合サービスへの反応
- 顧客の悩みや不満
- 投稿後の反応
- LPや広告に使える生の言葉
重要なのは、X検索の結果をそのままコピペするのではなく、Hermes側で「何に困っているのか」「どんな言葉が刺さるのか」「記事やLPにどう反映するのか」まで整理できることです。

定期実行もできる
Hermes AgentにはCronの仕組みもあります。
たとえば以下のような運用ができます。
- 毎朝、競合のX投稿を調べてSlackに要約する
- 毎週、ブログネタを10本出す
- 毎日、サイトの表示確認をする
- 月曜朝に、問い合わせ状況や広告状況をまとめる
CLIでは以下のようにCronを管理できます。
hermes cron list
hermes cron create "every monday 9am"
hermes cron run <job_id>
hermes cron pause <job_id>
hermes cron resume <job_id>
公式ドキュメント: https://hermes-agent.nousresearch.com/docs/user-guide/features/cron
最初のおすすめ設定
初めて使うなら、いきなり全部やらずに、以下の順番が現実的です。
- Hermes Agentをインストールする
hermes setupでモデルを設定するhermes doctorで状態確認する- terminal / file / web を有効化する
- メモリを有効化する
- よく使うスキルを入れる
- Slack Gatewayを設定する
- x_searchやimage_genを追加する
- Cronで定期タスクを作る
この順番なら、つまずくポイントを切り分けやすいです。
どんな会社に向いているか
Hermes Agentは、単なるAIチャットではなく、業務の中で動くエージェントです。
特に向いているのは、以下のような会社です。
- 少人数でマーケ、開発、営業、運用を回している
- Slack中心で仕事をしている
- WebサイトやCMSを頻繁に更新する
- リサーチと記事作成を継続したい
- AIツールを試すだけでなく、実務に組み込みたい
- 毎回同じ説明をAIにするのが面倒
AIを「相談相手」で終わらせず、実際に作業するメンバーとして扱いたい場合、Hermes Agentはかなり相性が良いです。
まとめ
Hermes Agentは、インストールして終わりのAIツールではありません。
メモリ、スキル、ツール、Slack、Xサーチ、Cronを組み合わせることで、事業運用の中に常駐するAIエージェントになります。
最初は以下だけで十分です。
curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/NousResearch/hermes-agent/main/scripts/install.sh | bash
hermes setup
hermes doctor
hermes
そこから、Slack連携、Xサーチ、画像生成、microCMS更新、定期レポートへ広げていくと、AIが「答えるだけ」ではなく「動かす」存在になります。
inovieでは、こうしたAIエージェントを、単発の効率化ツールではなく、事業を動かす仕組みとして実装・運用していきます。