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AI導入・開発

Difyとは?できること、使い方とクラウド版・セルフホスト版の違い

Difyとは?できること、使い方とクラウド版・セルフホスト版の違い

Difyは、生成AIを使ったアプリを画面上で組み立てて公開できる開発基盤です。チャットボット、決まった手順で動くワークフロー、自分で考えて作業するエージェント、社内文書を参照して答える仕組み(RAG)を、部品をつなぐ操作で作れます。作ったアプリは、そのままWebアプリとして共有したり、APIで社内システムから呼び出したりできます。一方で、ライセンスには通常のオープンソースにない条件があり、Webアプリは初期状態でURLを知っていれば誰でも開ける設定です。この記事では、Difyの開発元とライセンス、提供形態と料金、できること、クラウド版とセルフホスト版の始め方を公式情報をもとに整理します。あわせて、業務で使う前に決める権限・データの置き場所・人の確認と、個別開発を選んだほうがよい場面も説明します。

Difyとは:AIアプリを組み立てて公開する開発基盤

開発元と最新の版

Difyを開発しているのは、LangGenius, Inc.です。ソースコードはGitHubのlanggenius/difyで公開されています。READMEは、Difyをオープンソースの「LLMアプリ開発プラットフォーム」と説明し、ワークフロー、RAG、エージェント、モデルの管理、動作の記録と分析をひとつの画面にまとめたものとしています。

2026年10月6日時点の最新の安定版は、v1.17.1(2026年9月10日公開)です。新しい版では機能の追加だけでなく、アップグレードの手順が変わることもあります。v1.17.1では、セルフホスト版に同梱される検索用データベース(Weaviate)の版が大きく上がりました。リリースノートは、段階を踏んだ手動のアップグレードを済ませてから起動するよう警告しています。手順を飛ばすと、ナレッジの検索が使えなくなるおそれがあるためです。

ライセンスの条件

Difyのライセンスは、Apache License 2.0に追加の条件を加えた独自のもの(Dify Open Source License)です。公式サイトのトップページも、Community Editionを「Apache-2.0-derivative license」と表記しています。LICENSEの本文によると、他のアプリの裏側の仕組みとして使う場合や、企業のアプリ開発基盤として使う場合を含め、商用での利用は認められています。ただし、次の2つに当てはまる場合は、開発元から商用ライセンスを得る必要があります。

  • 複数のテナントを運営する場合:Difyから書面で許可を得ない限り、Difyのソースコードを使ってマルチテナントの環境を運営できません。LICENSEでは、1つのワークスペースを1つのテナントと定義しています。
  • 画面のロゴや著作権表示を変える場合:Difyの画面(web/ディレクトリ、またはDockerのwebイメージ)を使うときは、管理画面やアプリに表示されるロゴと著作権表示を削除・変更できません。画面を使わず、APIだけを使う場合にはこの制限は適用されません。

このほか、貢献者は開発元がライセンスを厳しくも緩くも変更できることに同意する、という条項もあります。たとえば、顧客企業ごとにワークスペースを分けてDifyを提供するサービスは、最初の条件に関わる可能性があります。自社のサービスに組み込む予定がある場合は、LICENSEの全文を読み、必要に応じて開発元に確認してください。

3つの提供形態と料金

Difyには、開発元が運営するクラウド版(Dify Cloud)、自社の環境で動かすCommunity Edition、企業向けのDify Enterpriseがあります。公式の料金ページ(2026年10月6日確認、税別)では、クラウド版のプランは次のとおりです。料金はワークスペース単位です。

  • Sandbox:無料。メンバー1人、アプリ5個まで。モデルの利用に使えるメッセージクレジットが200付き、ログは30日間保存されます。
  • Professional:月59ドル、または年590ドル。メンバー3人、アプリ50個まで。メッセージクレジットは毎月5,000です。
  • Team:月159ドル、または年1,590ドル。メンバー50人、アプリ200個まで。メッセージクレジットは毎月10,000です。

メッセージクレジットは、OpenAI、Anthropic、Google Geminiなどのモデルを手軽に試すためのもので、モデルの種類によって消費する量が異なります。使い切った後は、自社で契約したAPIキーに切り替えます。

Community Editionは無料で、公開リポジトリにある主要な機能をすべて使えます。ワークスペースは1つです。Enterpriseは個別見積もりで、商用ライセンス、複数のワークスペース、SSO(シングルサインオン)、Kubernetesへの導入、監査ログなどが含まれます。なお、料金ページはCommunity Editionの対象を「オープンソースの愛好者、個人の開発者、非商用のプロジェクト」と書いています。商用で使えるかどうかの線引きは、料金ページの紹介文ではなくLICENSEの本文で判断します。

Difyのクラウド版とセルフホスト版の違い
図の要点をテキストで読む

Difyのクラウド版(Dify Cloud)とセルフホスト版(Community Edition)を比べた表。始め方は、クラウド版がcloud.dify.aiで登録するだけ、セルフホスト版がDocker Composeで自社のサーバーに導入する。データの置き場所は、クラウド版が開発元の運営する環境、セルフホスト版が自社のサーバー。費用は、クラウド版がSandboxは無料で、有料プランはワークスペース単位の月額または年額、セルフホスト版はソフトウェアは無料でサーバーと運用の費用がかかる。運用は、クラウド版は開発元が担い、セルフホスト版はアップグレードやバックアップを自社で行う。向く会社は、クラウド版がまず試したい会社や少人数のチーム、セルフホスト版がデータを社内に置きたく運用できる担当者がいる会社。どちらもモデルを呼び出すときの入力は接続したモデルの提供元に送られる。SSOや複数のワークスペースが必要な場合はEnterpriseを検討する。

Difyでできること:チャットボット、ワークフロー、エージェント、RAG

アプリの種類

Difyでアプリを作るときは、最初に種類を選びます。公式ドキュメントが勧めているのは、ワークフロー(Workflow)とチャットフロー(Chatflow)の2つです。ほかに、簡単な設定で作れるチャットボット、エージェント、文章生成の3種類も残っています。どの種類も、内部では同じワークフローの仕組みで動きます。

ワークフローは、入力を受け取って最後まで1回で処理し、結果を返します。報告書の作成やデータの加工、まとめて処理する作業に向いています。利用者の操作で始めるほか、決まった時刻、外部サービスからの通知(Webhook)、連携したサービスのイベントをきっかけに自動で動かせます。チャットフローは、ワークフローに会話の機能を加えたものです。メッセージを受け取るたびに設計した処理を実行して返事をするので、問い合わせ対応や案内役のアシスタントに使います。

処理の流れは、画面上でノード(処理の部品)をつないで作ります。モデルを呼び出すLLM、ナレッジの検索、質問の分類、条件分岐、繰り返し、PythonかJavaScriptのコード実行、外部APIの呼び出し、ツールなどのノードがあります。

Difyで作れるものと公開のしかた
図の要点をテキストで読む

Difyで作れるものを4つに分けた図。チャットフローとチャットボットは、メッセージを受けるたびに処理して返事をする会話型のアプリで、社内の問い合わせ対応や案内役に使う。ワークフローは、入力を受けて最後まで1回で処理するアプリで、利用者の操作のほか、決まった時刻やWebhookで自動実行でき、報告書の作成やデータの加工に使う。エージェントは現在ベータ版で、専用のサンドボックスでコマンド実行やファイル操作をしながら作業し、単独のアプリとしてもワークフローの工程としても使える。ナレッジ(RAG)は、ファイル、Notion、Webサイトから取り込んだ自社の文書を検索して回答に使う仕組み。作ったアプリは、Webアプリ、API、Webサイトへの埋め込み、MCPサーバーとして公開できる。

エージェント

新しいエージェント機能は、現在ベータ版です。エージェントは専用のサンドボックス(隔離された実行環境)を持ち、その中でコマンドの実行、プログラムのインストール、ファイルの読み書きをしながら作業します。役割や指示、使うモデル、スキル、ツール、ファイルを一度設定しておけば、単独のチャットアプリとしても、ワークフローの1つの工程としても使えます。READMEによると、ツールはDify Marketplaceから追加するほか、MCPサーバーや自社のAPIもつなげます。MCPの仕組みはMCPとは?MCPサーバーの仕組みと社内システム連携の権限設計で解説しています。

ナレッジ(RAG)

ナレッジは、自社のデータをAIアプリに参照させる機能です。質問を受けると関連する文書を検索し、その内容をモデルに渡して回答を作ります。この方式をRAG(検索拡張生成)と呼びます。文書は手元のファイルのアップロード、Notionとの同期、Webサイトからの取り込みで登録します。取り込み時の分割や加工の手順を自分で組み立てることも、外部の検索の仕組みにAPIでつなぐこともできます。登録した後は、想定した質問で正しい箇所を探せるかを画面上で試せます。

公開と改善

アプリを公開すると、Webアプリ、API、Webサイトへの埋め込み、MCPサーバーとして使えるようになります。作ったアプリは、Dify独自の形式(DSL)のYAMLファイルに書き出せるので、別のDify環境に移すこともできます。公開後の会話や実行の記録はログに残り、利用者の評価を見たり、よい回答を登録して次から同じ質問に使わせたりできます。

Difyの使い方:クラウド版とセルフホスト版の始め方

クラウド版で試す

公式のクイックスタートは、クラウド版から始める手順で書かれています。インストールは要らず、無料で始められます。

  1. cloud.dify.aiでアカウントを登録します。新しいアカウントはSandboxプランで始まり、200のクレジットが付きます。このクレジットは1回限りで、毎月は補充されません。
  2. 「Integrations」の「Model Provider」で、使うモデルの提供元(OpenAIなど)を追加します。クレジットの対象のモデルなら、APIキーなしで使えます。
  3. 同じ画面の「Default Models」で、標準で使うモデルを選びます。
  4. 「Studio」から新しいアプリを作り、ワークフローかチャットフローを選んで、画面上でノードをつなぎます。
  5. 「Publish」を押すと、アプリの「Access Point」タブにWebアプリのURLが表示されます。

ここで注意したいのが、Webアプリの公開範囲です。公式ドキュメントによると、WebアプリはURLを知っていれば誰でも開ける状態で公開されます。社内の文書を入れたアプリを試すときは、URLの共有先に気をつけてください。

Docker Composeでセルフホストする

自社のPCやサーバーで動かす場合は、Docker Composeを使います。公式ドキュメントが示す最低限の条件は、CPU 2コア以上、メモリ4GiB以上と、Docker Compose 2.24.0以上です。macOSではDocker Desktopの仮想マシンに2つ以上の仮想CPUと8GiBのメモリを割り当て、WindowsではWSL 2を使います。

最新の版のソースコードを取得して、dockerディレクトリで起動します。最初のコマンドにはgit、curl、jqが必要です。

git clone --branch "$(curl -s https://api.github.com/repos/langgenius/dify/releases/latest | jq -r .tag_name)" https://github.com/langgenius/dify.git
cd dify/docker
cp .env.example .env
docker compose up -d
docker compose ps

アプリの本体、データベース(PostgreSQL)、キャッシュ(Redis)、検索用のデータベース(Weaviate)、コード実行用のサンドボックスなど、複数のコンテナが起動します。すべてが動いたら、ブラウザでhttp://localhost/installを開き、管理者のアカウントを作ります。サーバーで動かす場合は、localhostの代わりにサーバーのアドレスを使います。

業務で使い続ける場合は、起動した後の作業も見込んでおきます。メンバーを招待するには、招待される人が開けるアドレスをCONSOLE_WEB_URLに設定し、メールの送信設定もします。エージェント機能を本番で使う場合は、2つの秘密の値(DIFY_AGENT_SERVER_SECRET_KEYとDIFY_AGENT_API_TOKEN)を自分で作った値に置き換えるよう案内されています。アップグレードの手順は版ごとに異なるため、リリースノートの手順を確かめてから更新します。

業務でDifyを使う前に決めること

権限:誰が作り、誰が使うか

Difyのワークスペースには、4つの役割があります。オーナー(Owner)はすべてを管理し、管理者(Admin)はメンバーとモデルの提供元を管理します。編集者(Editor)はアプリとナレッジを作成・編集・削除でき、一般メンバー(Normal)は公開されたアプリを使うだけです。ナレッジは、ナレッジごとにどのメンバーが見られるかを設定します。役割を自由に作ったり、アプリごとに細かく権限を分けたりするのは、Enterpriseの機能です。

モデルの提供元に登録したAPIキーは、ワークスペース内のすべてのアプリで使われます。利用料はそのAPIキーの契約先に直接請求されるため、キーを登録できる人と利用料を確認する人を決めておきます。外部のシステムからナレッジを使わせる場合、v1.17.1からは、APIキーを特定のナレッジに限定できるようになりました。以前からあるキーは、ワークスペース全体のナレッジを読み書きできる設定のままです。

データの置き場所とモデルの接続先

クラウド版では、アプリの設定、ナレッジに登録した文書、会話のログが開発元の運営する環境に保存されます。セルフホスト版では、これらは自社のサーバーに残ります。ただし、どちらの場合も、モデルを呼び出すときの入力は接続したモデルの提供元に送られます。社外に出せない情報を扱うなら、データの置き場所だけでなく、モデルの接続先も合わせて決めます。READMEによると、DifyはOpenAI互換のAPIを持つモデルにも接続できるため、自社で動かすモデルを使う構成も取れます。自社で動かすモデルについてはローカルLLMとは?OllamaとLM Studioでの始め方、企業での使い分けを参考にしてください。

ログの扱いも確認が必要です。公式ドキュメントは、ログには会話の全文が残り、機密情報を含むおそれがあると注意しています。会話やログを削除しても、会話の中でアップロードされたファイルは消えません。クラウド版のSandboxプランでは、ログは30日で削除されます。

人の確認を入れる場所

ワークフローには、処理を止めて人に確認を求める「Human Input」ノードがあります。AIが作った文案などをフォームに表示し、確認する人が「承認」「作り直し」などのボタンを選ぶと、その選択に応じて次の処理に進みます。依頼はWebアプリの画面に表示するか、メールで送ります。メールで送った依頼は、リンクを知っていればDifyのアカウントがなくても回答できます。依頼は最初の回答で締め切られます。誰に送るかと、期限までに回答がなかったときの扱いを決めておきます。どこまでをAIに任せて、どこで人が確かめるかの考え方は、AIエージェントに任せる仕事、人が確認する仕事の分け方で整理しています。

エージェント機能については、公式ドキュメントに注意書きがあります。Community Editionは、同じエージェントを複数の利用者が使うときにファイルへのアクセスを制限しています。ただし、互いに信頼できない利用者のあいだを強く隔てる仕組みではないと書かれています。社外の人も使うエージェントを動かす場合は、環境を分けるか、クラウド版やEnterpriseの選択肢を開発元に相談するよう案内されています。

想定例:社内規程の問い合わせに答えるチャットフロー

以下は説明のための架空の例です。総務部が、就業規則や経費精算の手順についての社員からの質問に、社内規程をもとに答えるアプリをDifyで作るとします。

まず、規程の文書だけを入れたナレッジを作り、閲覧できるメンバーを総務部の担当者に限ります。アプリはチャットフローで作り、回答には参照した規程の箇所を表示します。規程に書かれていない質問には「担当者に確認してください」と返すよう指示します。Webアプリは初期状態ではURLを知っていれば誰でも開けるため、社外に出せない規程を扱う場合は、社内のネットワークからしか開けない場所にセルフホストするか、社内ポータルからAPIで呼び出す構成にします。公開から1か月はログを総務部が週に1回確認し、誤った回答には正しい回答を登録します。規程を改訂したときに誰がナレッジを更新するかも決めておきます。

Difyの限界と、個別開発を選ぶ場面

Difyは、決まった手順に沿って動くアプリや、社内文書をもとに答えるアプリを短い期間で形にするのに向いています。画面上で流れが見えるので、開発者でない担当者とも処理の中身を確かめやすい点も利点です。一方で、次のような要件がある場合は、Difyだけで作るより、個別に開発したほうが合うことがあります。

  • 自社の製品に組み込み、画面や認証を作り込みたい:Difyの画面を使う場合、ロゴと著作権表示は変えられません。自社のデザインや既存の認証の仕組みに合わせるなら、Difyを裏側の仕組みとしてAPIで呼び出すか、個別に作ります。
  • 複数の顧客企業に向けてサービスとして提供したい:顧客ごとにワークスペースを分ける運営は、ライセンス上の商用ライセンスの条件に関わります。
  • 利用者ごとに細かい権限や監査が必要:Community Editionの役割は4種類で、WebアプリはURLを知っていれば開けます。アプリごとの権限や利用者の認証が必要なら、Enterpriseか個別開発を比べます。
  • 既存の業務システムと深く連携する:複雑な業務ルールや大量のデータ処理をノードとコードで組むと、変更の影響が追いにくくなります。テストやレビューを通常のソフトウェアと同じ手順で回したい場合も、コードで書いたほうが管理しやすいことがあります。

進め方としては、まずDifyで試作して、業務で使えるかを短い期間で確かめる方法が現実的です。そのうえで、利用者の範囲、データの扱い、運用の手間が見えた段階で、Difyのまま運用するか、Enterpriseに移るか、個別開発に切り替えるかを判断します。試作から本番への移り方はAIのPoCを本番運用に移すには?止まる理由と移行前の確認項目、エージェントの構成の選び方はAIエージェントの設計パターンとは?6つの型と業務に合わせた選び方で解説しています。

Difyを業務に取り入れるには

Difyは、クラウド版なら登録してすぐに試せ、セルフホスト版でもDocker Composeで起動できます。業務で使い続けるには、作る人と使う人の権限、Webアプリの公開範囲、データの置き場所とモデルの接続先、人が確認する場面を先に決めておく必要があります。自社のサービスとして提供する場合は、ライセンスの条件も確かめます。

inovieでは、DifyなどのAI開発基盤を使った試作から、業務に合わせたAIエージェントの設計、社内システムとの連携、個別開発への切り替えまでを支援しています。詳しくはAIエージェント導入・改善支援とAI導入・システム開発支援をご覧ください。Difyで作ったアプリを本番で使う前の見直しや、Difyと個別開発のどちらが合うかの相談も、お問い合わせから受け付けています。

出典確認日:2026-10-06

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