AI導入に使える補助金は?2026年10月時点の3制度と申請準備

AI導入に使える国の補助金は、2026年10月6日時点で主に3つあります。登録されたAI搭載ソフトやクラウドサービスを入れるなら「デジタル化・AI導入補助金」、現場に合わせてAIを使った設備やシステムを構築するなら「中小企業省力化投資補助金(一般型)」、AIを使った新製品・新サービスを開発するなら「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が候補です。どの制度も、交付決定の前に契約・発注した経費は対象になりません。この記事では、各制度の補助率、上限、対象経費、公募の状況を公式サイトの記載をもとに比べ、対象にならない経費と申請前の準備を解説します。
AI導入に使える国の補助金(2026年10月6日時点)
3つの制度は、補助の対象になるものが違います。デジタル化・AI導入補助金は事務局に登録された既製のITツール、省力化投資補助金の一般型は自社の業務に合わせて設計する設備やシステム、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は新しい製品やサービスを生み出す投資が対象です。AIを使うかどうかより、何にお金を使うかで制度が決まります。
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2026年10月6日時点の公式サイトの記載をもとに、AI導入に使える主な補助金を比べた表。デジタル化・AI導入補助金の通常枠は、登録済みのITツール(AIを含むソフトウェアやクラウド)が対象で、補助率は1/2以内(条件により2/3以内)、補助額は5万円以上450万円以下、6次締切は2026年10月30日、7次締切は12月1日。中小企業省力化投資補助金の一般型は、AIなどを活用した専用の設備やシステムの構築が対象で、補助率は中小企業1/2(特例で2/3)、上限は750万円から8,000万円(特例で最大1億円)、第8回締切は2026年10月16日。カタログ注文型は、カタログに登録された汎用製品が対象で、補助率1/2以下、上限は200万円から1,000万円(賃上げで最大1,500万円)、随時受付。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の革新的新製品・サービス枠は、新製品・新サービスの開発が対象で、補助率は中小企業者1/2(特例で2/3)、上限は750万円から2,500万円(特例で最大3,500万円)、第1回締切は2026年10月30日。
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
IT導入補助金は、2026年から「デジタル化・AI導入補助金」の名称で公募されています。公式サイトの説明では、業務効率化やDXに向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金で、対象のITツールは事務局の審査を受けて登録されたものに限られます。公募要領は、ソフトウェアを「AIを含む」と定義しています。AIを搭載しているかどうかを含む機能の概要は、公式サイトのITツール検索で確認できます。
公式サイトによると、通常枠の補助率は1/2以内です。最低賃金に関する条件を満たす場合は2/3以内になります。補助額は、業務プロセスを1つ以上含む場合が5万円以上150万円未満、4つ以上含む場合が150万円以上450万円以下です。対象経費はソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が中心で、機能拡張やデータ連携ツールなどのオプション、導入コンサルティング、導入設定、保守サポートなどの役務も含められます。役務の補助対象経費は200万円が上限です。
申請は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と共同で行います(複数者連携デジタル化・AI導入枠を除く)。公式サイトの事業スケジュールでは、通常枠の6次締切が2026年10月30日(金)17:00(交付決定は12月10日の予定)、7次締切が2026年12月1日(火)17:00(交付決定は2027年1月19日の予定)と公表されています。それ以降の締切は、公式サイトで順次公表される予定です。
中小企業省力化投資補助金(一般型・カタログ注文型)
省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業等の省力化投資を支援する制度で、一般型とカタログ注文型の2つがあります。
一般型の公募要領は、対象となる「オーダーメイド設備」を、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、事業者の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステムと定義しています。公式サイトによると、補助上限額は従業員数に応じて750万円から8,000万円(大幅賃上げ特例の適用時は1,000万円から1億円)です。補助率は、中小企業が1/2(最低賃金引き上げ特例の適用時は2/3)、小規模企業者・小規模事業者と再生事業者が2/3です。対象経費は機械装置・システム構築費が必須で、クラウドサービス利用費、外注費、専門家経費なども計上できます。公募要領では、単価50万円(税抜き)以上の設備投資を1つ以上行うことが求められています。
一般型は公募回制です。公式サイトのスケジュールでは、第8回の公募締切が2026年10月16日(金)17:00、採択発表が2027年2月上旬の予定です。第9回のスケジュールは、詳細が確定してから更新すると案内されています。
カタログ注文型は、カタログに登録された汎用製品を選んで導入する類型で、公式サイトでは随時受付中と案内されています。2026年3月19日以降の補助上限額は、従業員数5名以下が200万円、6〜20名が500万円、21名以上が1,000万円(賃上げ要件を達成した場合はそれぞれ300万円、750万円、1,500万円)で、補助率は1/2以下です。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
中小企業庁は2026年9月30日、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の第1回公募の申請受付を始めたと発表しました。申請受付の締切は2026年10月30日(金)18:00、採択発表は2027年1月頃の予定です。従来の「中小企業新事業進出補助金」の公式サイトは公募の終了を案内しています。「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の公式サイトでは、23次締切(2026年5月8日)が最新の公募回で、次の公募回は掲載されていません。
この補助金には「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つの枠があります。公式サイトによると、AIを使った新しい製品やサービスの開発に近いのは革新的新製品・サービス枠で、補助上限額は従業員数に応じて750万円から2,500万円(賃上げ特例の適用時は850万円から3,500万円)、補助下限額は100万円です。補助率は、中小企業者が1/2(特例の適用時は2/3)、小規模企業・小規模事業者と再生事業者が2/3です。既存事業とは異なる市場に進出する新事業進出枠は、補助上限額が2,500万円から7,000万円(賃上げ特例の適用時は最大9,000万円)、補助下限額は750万円です。
ただし、公式サイトでは、既存の製品・サービスの生産プロセスを改善する事業は革新的新製品・サービス枠の対象外とされています。単に設備やシステムを導入するだけで、新製品・新サービスの開発を伴わないものも対象になりません。社内業務の効率化だけを目的にしたAI導入では、デジタル化・AI導入補助金や省力化投資補助金が検討の対象になります。
AI導入の費用で補助対象にならないもの
補助金の対象外になる経費は、制度ごとの公募要領に書かれています。AI導入で特に確かめておきたい点を挙げます。
交付決定の前に契約・発注した経費
3つの制度とも、交付決定より前に契約・発注した経費は補助対象になりません。デジタル化・AI導入補助金の公募要領は、交付決定後に契約・発注を行うことを求めています。省力化投資補助金(一般型)の公募要領は「いかなる理由であっても事前着手は認められません」と定めています。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領も、交付決定日より前に契約(発注を含む)した経費は対象外としています。申請の準備を進めながら、契約だけを先に済ませることはできません。
デジタル化・AI導入補助金で対象外になるもの
この補助金で申請できるのは、IT導入支援事業者が事前に登録したITツールだけです。業種や業務を限定しない「汎用・自動化・分析ツール」は、それだけでは申請できず、業務プロセスを持つソフトウェアと組み合わせる必要があります。公募要領には、顧客側の画面を新たに作る費用はスクラッチ開発に当たるため対象外という記載もあります。このほか、リース・レンタル契約のITツール(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)、補助金の申請代行費、交付決定前に購入したITツールも対象外です。自社専用のAIシステムを一から開発する費用は、この補助金では扱いにくいと考えておくのが安全です。
省力化投資補助金(一般型)で対象外になるもの
一般型の公募要領では、事務用のパソコンやタブレット端末、文書作成ソフトウェアのように、汎用性があり目的外にも使えるものの購入費は対象外です(その事業でのみ使えるものを除く)。すでに導入している既存システムのバージョンアップや改修の費用も対象外ですが、補助事業で新たに導入するシステムと連携するための改修費用は対象になります。社内システムを自社の人員で開発する場合の人件費、専ら他者が利用するシステムの開発費、申請書類の作成費用も計上できません。
AI導入で補助金を申請する前に準備すること
補助金の申請には、制度の選択に加えて、事前の手続きや見積の準備に時間がかかります。公募の締切から逆算して進めます。
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補助金を使ってAIを導入するときの6つの段階。1は対象業務と効果を整理し、AIに任せる業務と削減できる時間を書き出す。2は制度と公募回を選び、対象経費と締切を公募要領で確かめる。3はGビズIDプライムを取得し、デジタル化・AI導入補助金ではSECURITY ACTIONも宣言する。4は見積と事業計画を作り、仕様書と積算根拠をそろえる。5は申請して交付決定を受ける。6は交付決定の後に契約・導入・支払いを行い、期限までに実績報告を出す。交付決定の前に契約・発注した経費は補助対象にならない。
対象業務と効果を数字で整理する
どの制度も、導入によって生産性がどう上がるかを事業計画で示します。省力化投資補助金(一般型)では、導入で削減される業務時間から計算する「省力化指数」や投資回収期間が公募要領で定義されています。まず、AIに任せる業務、今かかっている時間、導入後に残る作業を書き出しておくと、制度選びと事業計画の両方に使えます。費用の項目の分け方は、Q&A「AIプロジェクトの予算は、どの項目に分けて組み立てるのがよいですか?」で整理しています。
GビズIDプライムなどの事前手続き
デジタル化・AI導入補助金、省力化投資補助金(一般型)、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、いずれも申請にGビズIDプライムのアカウントが必要です。デジタル化・AI導入補助金の公式サイトによると、発行までの期間はおおむね2週間です。デジタル化・AI導入補助金では、IPA(情報処理推進機構)の「SECURITY ACTION」の宣言も申請の要件で、宣言済みアカウントIDの発行にはおおむね2〜3日かかると案内されています。
見積と仕様書を用意する
省力化投資補助金(一般型)の公募要領では、発注先1件あたりの見積額が50万円(税抜き)以上の場合は、同じ条件で相見積もりを取るのが原則です。システム構築費は積算根拠が明確な見積書と仕様書が必要で、「システム開発一式」のような見積は認められないと書かれています。実績報告では、要件定義書や開発費用の算出資料の提出も求められます。何を作るかを要件として固めてから見積を依頼する流れが必要です。
IT導入支援事業者が必要かを確かめる
IT導入支援事業者との共同申請が必要なのは、デジタル化・AI導入補助金です。導入したいツールが登録されているか、その販売元がIT導入支援事業者として登録されているかを、公式サイトのITツール検索で先に確かめます。省力化投資補助金(一般型)と新事業進出・ものづくり商業サービス補助金には、この共同申請の仕組みはありません。どちらの公募要領も、事業計画は申請者自身で作成するよう求めています。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領は、外部の助言を受けることは差し支えないとしたうえで、作成自体を申請者以外が行うことは認めないとしています。
交付決定から実績報告までの日程を確かめる
採択や交付決定の後も、決められた期間内に契約、導入、支払いを終え、実績報告を出す必要があります。たとえば、デジタル化・AI導入補助金の通常枠6次締切分は、事業実施期間と実績報告の期限が2027年5月31日(月)17:00(予定)と公表されています。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の革新的新製品・サービス枠は、交付決定日から10か月以内が実施期間です。対象経費は補助事業の期間内に支払ったことを確認できるものに限られるため、補助金を受け取るまでの費用は自社で立て替えることになります。
申請の要件、補助率、締切は公募回ごとに変わることがあります。この記事は2026年10月6日時点の公式サイトの情報をもとにしています。申請を検討するときは、必ず各制度の最新の公募要領を確認してください。
想定例:問い合わせ対応と検品にAIを使いたい場合
以下は説明のための架空の例です。従業員30名の卸売業の会社が、問い合わせ対応と出荷前の検品にAIを使いたいと考えたとします。
問い合わせ対応は、AIによる回答案の作成機能を持つ顧客対応ソフトがITツールとして登録されていれば、デジタル化・AI導入補助金の対象になり得ます。検品は、カメラの画像をAIで判定して不良品を振り分ける専用の検査システムを、自社のラインに合わせて設計する場合、省力化投資補助金(一般型)の対象になり得ます。どちらも、交付決定を受けてから契約することを前提に、締切から逆算して見積と事業計画の準備を始めます。
補助金を使うAI導入を社内で進めるか、外部と分担するか
補助金は、AI導入の費用の一部を補うものです。採択されても、対象業務が定まっていなかったり、導入後の運用が決まっていなかったりすると、AIは業務に定着しません。補助金の締切に合わせることより、試作で効果を確かめ、本番運用まで続けられる計画を作ることが先です。PoCを本番運用に移すときの確認項目は、AIのPoCを本番運用に移すには?で解説しています。ChatGPTのような汎用の生成AIを社内に広げる場合の進め方は、ChatGPTが社内で定着しない理由と、業務に組み込む進め方をご覧ください。
補助金の申請手続きは、各制度の公募要領に沿って申請者が行います。inovieでは、申請の前に必要な対象業務の整理、見積と仕様書を作るための要件定義、AIシステムの開発と運用の設計を支援しています。支援の範囲はAI導入・システム開発の支援をご覧ください。補助金の利用を検討しているAI導入のご相談は、お問い合わせから受け付けています。
出典確認日:2026-10-06
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